おむすび三兄弟
こんにちは、カースポット守山の藤田です。
今日は約1ヶ月ぶりとなります、真空管のお話です。
何度も取り上げさせていただき、もはや恒例となりつつありますね。
決して万人にお奨めできるようなものではありませんが、
私のような者の書くものでも、ディープなオーディオの世界を少しでも
感じていただけたらと思っております。
まずはアンプのご紹介です。
ここでも何度か取り上げさせていただいた、300Bという真空管を使用する
シングルアンプです。
こちらは東京の有名ショップ”オーディオ専科”さんが20年以上前に発売された
アンプキットです。
創業者の森川忠勇さんは、日本における真空管アンプの発展に
多大な貢献をされた方で、私も著書を所有しており、尊敬する方です。
キットというのは、部品の状態で梱包され、自身の力で完成させる
部品セットのようなものです。
真空管アンプは、自分で組み立てて完成させるという楽しみ方もあるので、
このようなものが発売されています。
これを手に入れた時は、部品がきちんとついておらず、
製作半ばで放置された状態になっていました。
私には完成させるスキルも知識もありませんので、例の如く、
アンプSHOPミズナガさんにお願いし、完成したものです。
内部の真ん中に銀色に光る、「グリッドチョーク」という部品が特徴的です。
また、カップリングコンデンサに2.2μFと大きめの容量が使われているのも
珍しいアンプです。
私の手持ちの部品に置き換えたり、電源回路を強化していただいたりで、
オリジナルを尊重しながらも、更にクオリティの高いものに仕上がりました。
さて、先日、本物と言われる300BはWestern Electric社(以下:WE社)製の物ですと
お話しておりました。
WE社の300Bはマイカがおむすび型をしているのが特徴だとお伝えしました。
しかし、世にはWE社製以外にも、おむすびマイカの300Bが存在いたします。
それらを今日はご紹介したいと思います。
私の主観で音質の傾向もお伝えしますが、80年代のWE社の300Bと比較しての
印象です。
まずは、アメリカのセトロン製300Bです。
非常に柔らかで、低域に厚みがある穏やかな音質の300Bです。
WE社の300Bをお父さんとするなら、どしっと構えた長男と言ったところ
でしょうか。
次はロシアのスヴェトラーナ製300Bです。
ロゴの羽のついたCマークで”Winged-C”と呼ばれている真空管です。
全体的に細身でプロポーションの良い300Bです。
透き通った高域が特徴で、音抜けの良さはWE社の300Bを超えると思います。
ロングヘアーが素敵なお姉さんと言ったところでしょうか。
そして中国のPSVANE 300Bです。
徹底的にWE社の300Bに似せて作られた真空管です。
見た目は良く見ないと違いが判りません。
音質も復刻版のWE社の300Bにかなり近いです。
優等生の三男坊という感じです。
私の妄想で、勝手に三兄弟と言っていますが、世間では全く通じませんので
お気を付けください(笑)。
いくら良い音でも、ずっと聞いていると飽きてきたり、違う物が
欲しくなるんですよね。
真空管アンプは、球を交換することで、手軽に音の変化を楽しむことが
できるんです。
また、スピーカーや部屋の状況で、音質の調整に真空管を交換するのが
有効だったりします。
音質もそうですが、アンプを買い替えなくても様々な挑戦ができるのが、
真空管アンプの魅力かなって思います。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。
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